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言語聴覚士の年収は約444万円|年齢別・職場別データと年収アップ戦略

言語聴覚士(ST)の平均年収は約444万円です(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士の合算区分)。20代の約345万円から50代後半の約610万円まで、経験とポジションによって大きな幅があります。

「このまま働き続けても年収は上がるのだろうか」「同期のPTやOTと比べて、自分の年収は妥当なのか」――。そんな疑問を抱えるSTは少なくないでしょう。この記事では、厚生労働省の公的データに基づく年齢別・職場別の年収情報に加え、人材紹介の現場で得た一次情報を交えながら、年収500万円・600万円・1000万円を目指すための具体的なキャリア戦略を解説します。

この記事でわかること

  • 言語聴覚士の平均年収444万円の内訳(月給・ボーナス・手取り)
  • 年齢別(20代〜50代)・職場別の年収データ
  • PT・OTとの年収比較
  • 年収500万・600万・1000万を目指す具体的なキャリア戦略
  • 年収に影響する資格・スキル・制度改定の最新情報

言語聴覚士の平均年収は約444万円【令和7年最新データ】

言語聴覚士の平均年収は約444万円です(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」)。月給は約31.0万円、年間賞与は約71.7万円で、看護師(約520万円)よりは低いものの、職場や地域、経験年数によって大きな幅があり、一律に「低い」とは言い切れない水準にあります。

厚生労働省の統計データから見る言語聴覚士の年収

言語聴覚士の年収を語るうえで最も信頼性が高いのが、厚生労働省が毎年実施する「賃金構造基本統計調査」です。令和7年(2025年)のデータによると、該当職種区分の平均年収は約443.6万円と報告されています。

なお、この統計では「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士」が同一区分で集計されています。ST単独の数値ではありませんが、リハビリ3職種の給与テーブルはほぼ同一に設定されている施設が大半であるため、STの年収水準を把握する指標として広く参照されています。

この数字は全国の事業所を対象とした大規模調査に基づいており、求人サイトの掲載年収とは異なり、実際に支払われた給与の集計値です。医療職全体のなかでは中堅程度の位置づけとなっています。

月給・ボーナス・手取りの内訳

項目金額
月給(きまって支給する現金給与額)約31.0万円
年間賞与(ボーナス)約71.7万円
年収(月給×12+賞与)約444万円
手取り目安(税・社会保険料控除後)月24万〜26万円前後

(出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」)

ボーナスの約71.7万円は年2回支給の施設が多く、1回あたり約36万円程度の計算です。ただし、ボーナスの支給月数は施設による差が大きい部分でもあります。公立病院では4.0〜4.5か月分が標準的な一方、民間のクリニックや訪問リハ事業所では2.0か月分程度のケースも見られます。年収を比較する際は、月給だけでなくボーナスの支給実績まで確認することが重要です。

言語聴覚士の初任給はいくら?

新卒の言語聴覚士の初任給は約24.6万円です(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」)。理学療法士・作業療法士の初任給とほぼ同水準であり、医療職の新卒としては平均的な金額といえます。年収に換算すると、ボーナスを含めて330万〜360万円程度が1年目の目安です。


【年齢別】言語聴覚士の年収推移 — 20代〜50代でどう変わる?

言語聴覚士の年収は20代前半の約345万円から始まり、50代後半で約610万円に達します(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」)。ただし、昇給カーブは緩やかで、30代後半以降に「踊り場」を迎えるケースが少なくありません。

20代の年収(300万円台〜400万円台前半)

20代前半は初任給ベースのため年収345万円前後からスタートし、20代後半には398万円前後に到達する方が多い傾向にあります。臨床経験が浅い時期でもあり、この段階では職場間の年収差はそれほど大きくありません。

学会発表や症例報告を積み重ね、嚥下機能評価や高次脳機能障害の評価スキルを磨く時期にあたります。この段階での臨床経験の幅が、30代以降の年収に影響してくる重要な準備期間です。

30代の年収(400万円台)

30代になると年収は440万〜460万円程度に進みますが、この時期から昇給ペースの鈍化を実感するSTが増えてきます。役職がつかない限り、月給の上がり幅は年々小さくなる構造が多くの病院に見られるためです。

30代前半で約444万円、30代後半で約455万円というのが統計上の推移であり、30代のうちに年収450万円を超えるかどうかが、ひとつの分かれ目になります。

40代・50代の年収(500万円〜600万円台)

40代前半で約498万円、40代後半で約530万円と500万円前後に到達します。50代後半になると約610万円に達するのが統計上の推移です(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」)。ただし、この水準に到達しているのは管理職や主任クラスのSTが中心であり、一般職のまま50代を迎えた場合は450万〜500万円程度にとどまるケースも見受けられます。

多くの病院で見られる「昇給の踊り場」— 30代後半からの年収戦略

言語聴覚士のキャリアにおいて見過ごせないのが、30代後半以降に訪れる昇給の停滞です。地域や法人の規模により状況は異なりますが、編集部が実施した現役STへのヒアリング調査では、病院勤務STの約75%が入職10年目以降の昇給が年間2,000円以下と回答しています(セラピストドットコム編集部調べ)。

年間2,000円の昇給ということは、10年間働いても月給が2万円しか増えない計算です。年収にして約24万円の増加にとどまります。この構造を知っておくことは、キャリアプランを考えるうえで欠かせない判断材料となるでしょう。

だからこそ、今の職場で管理職を目指すか、市場価値が高い職場へスライドするかの判断が重要になってきます。年収550万円の壁を突破するには、管理職への昇進か、より高い給与テーブルを持つ職場への移動が現実的な選択肢です。次のセクションでは、職場別の年収差を具体的に見ていきます。


【職場別】言語聴覚士の年収比較 — 病院・老健・訪問・小児

言語聴覚士の年収は職場の種類によって大きく異なります。同じ経験年数でも、病院・老健・訪問リハ・小児の各領域で年収差が50万〜100万円に及ぶケースも珍しくありません。自分に合った職場を選ぶことが、年収アップの第一歩になります。

病院勤務(急性期・回復期)の年収

急性期病院と回復期リハビリテーション病棟は、言語聴覚士にとって最も一般的な就業先です。年収は350万〜480万円程度の範囲に収まることが多く、公立病院であれば地方公務員の給与体系が適用されるため、民間病院よりも安定した昇給が見込めます。

一方、民間の回復期病院では施設ごとの差が顕著です。診療報酬の算定状況や病棟の稼働率によって賞与の支給月数が大きく変動するため、転職を検討する際は直近の賞与実績を確認することが欠かせません。

老健STの「高コスパ」な実態 — 残業少なめ×給与高め

「病院より残業が少ないのに、給与はほぼ変わらない」。介護老人保健施設(老健)で働くSTからは、こうした声が聞かれます。老健のSTは嚥下評価の専門家として重宝されており、病院と比べて残業が少ない割に給与が高い「高コスパ」な職場が多い傾向にあります(セラピストドットコム編集部調べ)。

背景には、施設運営におけるSTの役割の大きさがあります。入所者の食事場面に立ち会い、嚥下機能を評価し、食事形態を調整する。こうした業務は施設の安全管理と直結しており、STの配置を安定させたい施設側が給与面で配慮するケースが見られます。

訪問リハSTの年収 — 高い固定給で年収が確保されやすい理由

訪問リハビリテーション領域のSTは、PTと比較して年収の構造に特徴があります。PTの場合は件数歩合(インセンティブ)で年収を積み上げるケースが一般的ですが、STは需要に対して供給が圧倒的に不足しているため、高い基本給(固定給)で年収を確約される割合がPTより高い傾向にあります(セラピストドットコム編集部調べ)。

訪問STの年収は420万〜520万円程度が相場であり、件数手当が加算されれば500万円を超えることも十分に可能です。なお、STの初任給には地方都市と都市部で最大60万円の年収差があるため、地域選びも年収に直結する要素になります(セラピストドットコム編集部調べ)。

小児リハ領域の年収事情 — 需要と供給のギャップ

小児STの採用市場には、ひとつの際立った特徴があります。基本給だけを見ると病院勤務よりやや低い場合もある一方で、件数手当(インセンティブ)が手厚い事業所ではPTより高い年収を得ているSTが現場に存在するのです(セラピストドットコム編集部調べ)。

発達障害や構音障害へのニーズが高まる中、児童発達支援事業所や放課後等デイサービスではSTの在籍自体が施設の差別化要素です。「STがいる施設」という看板が集客につながるため、採用時の条件交渉がしやすい環境が生まれています。

公務員(公立病院)言語聴覚士の年収

公立病院に勤務する言語聴覚士は地方公務員として扱われ、医療職俸給表に基づいた給与が支給されます。年収は経験年数に応じて段階的に上昇し、40代で500万〜550万円、50代で600万円前後に達するのが一般的な推移です。

民間と比べて昇給が安定しているものの、インセンティブによる上乗せはなく、年収の天井が見えやすい面があります。一方、退職金制度や福利厚生を含めた生涯賃金で比較すると、公務員STの安定性は大きなメリットといえるでしょう。


言語聴覚士の年収は低い?PT・OTとの比較で見える実態

言語聴覚士の平均年収はPT・OTとほぼ同水準ですが、採用市場における希少性を反映して、転職時の条件交渉ではSTに有利な場面が生まれることがあります。「年収が低い」という印象の主な原因は、昇給カーブの緩やかさにあります。

PT・OT・STの平均年収比較

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士は同一区分で集計されており、4職種合算の平均年収は約444万円です。職種ごとの個別データは公表されていないため、各職種間の正確な年収差を統計データだけで判断することはできません。

ただし、多くの病院・法人でリハビリ職(PT・OT・ST)の給与テーブルは一律に設定されており、基本給ベースでは大きな差がないのが実態です。差が生まれるとすれば、転職時の条件交渉や職場選びの段階になります。

3職種の年収に影響する構造的な違い:

  • PTの有資格者数: 約21万人(累計合格者数)
  • STの有資格者数: 約4.1万人(累計合格者数)
  • 1施設あたりの募集枠: PTが5〜10名に対し、STは1〜2名が大半

この需給バランスの違いが、転職時の条件交渉力に反映されるケースがあります。

[理学療法士の年収について詳しく解説した記事](リンク ※該当記事の公開後に差し替え)や、[作業療法士の年収データと年収アップ戦略](リンク ※該当記事の公開後に差し替え)もあわせてご覧ください。

採用難易度の違いが条件に反映されるケースも — STに「支度金」や「転居費用補助」が提示されやすい背景

病院や法人の給与テーブルはリハビリ職(PT・OT・ST)で一律に設定されていることが大多数です。しかし、採用の難易度に差があるため、入職時の支度金や転居費用補助など初期費用面でSTに手厚い条件を提示する施設が存在します(セラピストドットコム編集部調べ)。

これはSTを「優遇している」わけではなく、募集枠が少ないうえに必須配置であるという構造上の理由による市場原理の反映です。STの募集枠が1〜2名という施設が大半であり、1名の採用に失敗した場合の業務への影響が大きいため、施設側が条件面で柔軟に対応する傾向があります。

[理学療法士と作業療法士の違い](リンク ※該当記事の公開後に差し替え)についても確認しておくと、3職種の市場構造をより深く理解できるでしょう。

回復期リハの欠員時、ST求人の提示年収は相場より50万円以上高いことも

回復期リハビリテーション病棟では、施設基準上STの配置が求められるため、欠員が発生した際のST求人は提示年収が相場より50万円以上高く設定されるケースが頻繁にあります(セラピストドットコム編集部調べ)。

たとえば、通常の求人で年収400万〜430万円と提示している施設が、欠員補充の緊急募集では年収480万〜500万円に条件を引き上げる場面は珍しくありません。この「欠員タイミング」を捉えられるかどうかが、STの転職における年収交渉の大きな分かれ目です。

[理学療法士が「給料が安い」と感じる実態](リンク ※該当記事の公開後に差し替え)についても、PT側の視点から年収構造を解説しています。


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言語聴覚士が年収500万・600万・1000万を目指す方法

言語聴覚士が年収500万円に到達するには訪問リハやインセンティブの活用、600万円には管理職昇進か高待遇施設への転職、1000万円にはSTの専門性を活かした「臨床+α」の複合戦略が必要です。それぞれの到達ルートを見ていきます。

年収アップの3つのチェックポイント:

  1. 現在の年収が統計上の相場と比べてどの位置にあるかを確認する
  2. 自分の経験領域(急性期・回復期・訪問・小児など)の市場価値を把握する
  3. 管理職ルートか、職場移動ルートか、自分に合った方向性を定める

年収500万円の到達ルート — 訪問リハ×インセンティブ

年収500万円は、言語聴覚士にとって最も現実的に手が届く目標のひとつです。訪問リハ事業所で基本給に件数手当を上乗せする形で到達するSTが多い傾向にあります。

前述のとおり、訪問STは固定給が高めに設定されやすいため、月4〜5件の上乗せ訪問でインセンティブを積み上げれば、年収500万円のラインに到達できる計算です。老健のSTも残業が少ないなかで480万〜510万円を得ている方がおり、ワークライフバランスを重視しながら500万円を目指すなら有力な選択肢になるでしょう。

年収600万円の到達ルート — 管理職 or 高コスパ施設への転職

年収600万円を目指すとなると、一般的なSTのキャリアパスでは管理職への昇進が王道です。リハビリテーション科の科長や主任ポジションに就けば、役職手当が加算されて年収580万〜650万円に達するケースが見られます。

管理職以外のルートとしては、ボーナス支給月数の多い公立病院や、ST配置に手厚い報酬を設定している大規模法人への転職が考えられます。50代後半のSTの平均年収が約610万円に達していることから(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」)、長期勤続でも到達は可能な水準ですが、30代・40代で実現するには意図的なキャリア選択が欠かせません。

年収550万円の壁を突破するには管理職昇進が現実的

先述のヒアリング調査で浮かび上がった「昇給の踊り場」を踏まえると、一般職のままでは年収550万円の壁を突破するのは容易ではありません。この壁を30代〜40代前半で超えるには、管理職昇進が現実的なルートです(セラピストドットコム編集部調べ)。

管理職ポストの数には限りがあるため、昇進が見込めない環境であれば、管理職候補として採用してくれる施設を探すことも選択肢になります。欠員予定の段階で情報を把握しているのは転職エージェントであるケースが多く、公開前の管理職求人に出会える可能性が高まります。

年収1000万円への道 — STの専門性を活かした「臨床+α」のキャリア形成

年収1000万円は、通常の臨床業務の延長線上にはない数字です。しかし、言語聴覚士ならではの専門性を複数の収入源に展開する「臨床+α」の戦略であれば、到達の可能性は開けてきます。

STがPTと異なるのは、自費リハビリ施設での開業が収益化しにくい点にあります。そのため、ST特有のルートとして以下のキャリアが考えられます。

  • 小児の発達支援事業所の開設: 児童発達支援や放課後等デイサービスの事業所を経営する道。STの在籍は施設の差別化要素となり、利用者の集客にも直結します
  • 嚥下コンサルティング: 介護施設や在宅医療の現場に対して、嚥下機能評価や食事形態の助言を行うコンサルティング業務。高齢化の進展に伴い、需要は拡大傾向です
  • 養成校講師との兼務: 言語聴覚士養成校の非常勤講師として教壇に立ちながら、臨床と並行して収入を確保する方法。大学院での研究歴や認定言語聴覚士の資格があると依頼を受けやすい傾向にあります

いずれのルートも、相応の臨床経験と専門性の蓄積が前提となります。一朝一夕に実現するものではなく、日々の研鑽の先にあるキャリアとして捉えるのが現実的でしょう。

転職経験を年収交渉の武器にする — STの「経験の幅」の活かし方

言語聴覚士は1施設あたりの募集枠が1〜2名と少なく、即戦力が求められる傾向の強い職種です。そのため、複数の職場での経験は「経験の幅」として年収交渉の材料になり得ます(セラピストドットコム編集部調べ)。

急性期で脳卒中の言語障害を担当し、回復期で嚥下リハの経験を積み、訪問で在宅の高次脳機能障害に対応した――こうした経歴は、採用側にとって「1人で複数領域をカバーできるST」という価値を持ちます。ただし、施設や採用担当者によって評価の基準は異なるため、自分の経験をどのように言語化して伝えるかが交渉の鍵を握ります。

回復期リハの欠員タイミングを狙った転職は、前述のとおり提示年収が大幅に上がるため、年収アップにおいて大きなインパクトを持つ手段のひとつです。


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言語聴覚士の年収に影響する資格・スキル・制度改定

言語聴覚士の年収は、診療報酬改定や保有資格によっても変動します。特に2022年度の診療報酬改定で新設された摂食嚥下機能回復体制加算(旧・摂食嚥下支援加算)は、STの収益貢献度を可視化する契機になっています。

摂食嚥下機能回復体制加算の改定がSTの年収に与える影響

2022年度(令和4年度)の診療報酬改定で摂食嚥下支援加算は「摂食嚥下機能回復体制加算」に名称が変更されるとともに、加算1(210点)・加算2(190点)・加算3(120点)の3段階に再編されました。この改定により、STが中心的な役割を果たす嚥下リハの収益構造がより明確になっています。

嚥下内視鏡検査(VE)や嚥下造影検査(VF)を実施し、多職種カンファレンスを主導するSTの貢献が、施設の収益に直結する形で評価されるようになりました。STが稼げる収益構造が明確になった病院では、賞与や手当への還元が始まっているケースもあります(セラピストドットコム編集部調べ)。自施設がこの加算を算定しているかどうかは、今後の年収を左右する要素のひとつです。

認定言語聴覚士・公認心理師 — 資格手当の現実と活かし方

日本言語聴覚士協会が認定する「認定言語聴覚士」や、国家資格である「公認心理師」を取得しても、多くの病院の給与規定では資格手当が設定されていないのが現状です(セラピストドットコム編集部調べ)。手当が月額5,000円〜10,000円支給される施設もありますが、資格取得だけで大幅な年収アップにつながるケースは多くありません。

これらの資格を年収に反映させるなら、教育・研究職への転身や、摂食嚥下障害・高次脳機能障害に特化したクリニックなど、資格を評価してくれる環境へ動く必要があるでしょう。資格そのものよりも、「資格を活かせる場所にいるかどうか」が年収に影響します。

需給バランスから見る言語聴覚士の将来性

言語聴覚士の累計国家試験合格者数は約4.1万人であり、理学療法士(約21万人)の5分の1以下です(厚生労働省 国家試験合格発表データ)。高齢化の進展に伴い、嚥下障害や認知機能低下へのリハビリ需要は今後も増加が見込まれており、STの希少性は当面維持される可能性が高い状況です。

日本言語聴覚士協会の正会員数は2025年3月時点で22,106名に達しています(日本言語聴覚士協会「会員動向」)。需要と供給のバランスがSTに有利な状況が続く限り、転職時の条件交渉力は他のリハ職と比べて相対的に高い状態が維持されるでしょう。この市場構造を理解したうえでキャリアプランを組み立てることが、長期的な年収アップにつながります。


よくある質問(FAQ)

Q1: 言語聴覚士の年収の中央値はいくらですか?

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」による平均年収は約444万円ですが、中央値は400万円台前半と推定されます。20代〜30代前半の構成比が高い職種であるため、平均値はやや上振れする傾向にあります。自分の年収が相場と比べてどうかを判断する際には、年齢と経験年数を加味して見る必要があるでしょう。

Q2: 言語聴覚士と理学療法士、どちらの年収が高いですか?

厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士は同一区分で集計されており、職種単独の年収データは公表されていません。病院・法人の給与テーブルはリハビリ3職種で一律設定のケースが大半ですが、採用難易度を反映してSTに支度金・転居費用補助が提示されるケースもあります(セラピストドットコム編集部調べ)。

Q3: 言語聴覚士で年収600万円は現実的ですか?

現実的に到達可能な水準です。管理職昇進や、訪問リハ×地方の組み合わせで600万円を得ているSTは少なくありません。厚生労働省の統計では55〜59歳の平均年収が約610万円に達しており、長期キャリアの中で到達できる数字です。30代〜40代での実現には、管理職ポストを狙うか、ボーナスの手厚い施設への転職が有効な手段になります。

Q4: 言語聴覚士の年収が低いと言われる理由は何ですか?

最大の要因は昇給カーブの緩やかさです。多くの病院では30代後半以降に昇給が鈍化する「踊り場」が存在します。地域や法人規模により異なりますが、編集部のヒアリング調査では入職10年目以降の昇給が年間2,000円以下というSTが約75%を占めていました(セラピストドットコム編集部調べ)。初任給は他の医療職と比べて低くはないものの、この昇給停滞が「年収が低い」という印象につながっています。

Q5: 新卒言語聴覚士の初任給はいくらですか?

約24.6万円です(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」)。PT・OTの初任給とほぼ同水準で、年収に換算すると1年目は330万〜360万円程度が目安となります。

Q6: 言語聴覚士が転職で年収を上げるコツは何ですか?

インパクトが大きいのは、回復期リハビリテーション病棟の欠員タイミングを狙うことです。施設基準上STの配置が必要なため、欠員時は提示年収が相場より50万円以上高くなるケースが頻繁に見られます(セラピストドットコム編集部調べ)。訪問リハの件数手当(インセンティブ)を活用する方法も有効です。


まとめ

言語聴覚士の平均年収は約444万円。20代の345万円台から50代後半の約610万円まで、経験とポジションに応じて年収は上昇していきます。ただし、30代後半以降に昇給が鈍化する「踊り場」が存在するため、年収アップには意図的なキャリア選択が欠かせません。

年収500万円には訪問リハや老健でのインセンティブ活用、600万円には管理職昇進、1000万円にはSTの専門性を活かした事業展開が現実的なルートです。そしてPT・OTと比較したときのSTの特徴は、募集枠の少なさに起因する採用市場での希少性にあります。回復期リハの欠員時には提示年収が大幅に上がるため、転職のタイミング選びが年収を左右する重要な要素です。

自分の現在の年収が相場と比べてどうなのか。年収を伸ばすために次にすべきことは何か。まずは自分の市場価値を把握し、具体的な一歩を踏み出してみてください。


「自分の年収は相場通りなのか」「次のキャリアで何を選ぶべきか」。 その答えを見つけるには、まず自分の市場価値を知ることから。セラピストドットコムはPT・OT・STのための学びのプラットフォームです。嚥下・高次脳・小児など専門領域の知識を深めながら、キャリアや転職についても相談できます。

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セラピストドットコム編集部 京都大学大学院医学研究科で博士号を取得した理学療法士を代表とする株式会社バックテックが運営しています。社員には理学療法士や保健師といった医療専門職が多く在籍しています。医学的根拠に基づいたエビデンス・臨床経験を活かし、セラピストや医療職の皆様に、正確で信頼性の高い情報を提供しています。



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